日本の伝統的結婚観と令和時代の結婚事情 ブライダルプロデューサーとして眞子さまと小室圭さんの結婚に思うこと。
結婚式の専門家、プロのブライダルプロデューサーとして、24年にわたり、5,000組以上のカップルの結婚を見守ってきましたが、ここ数年、日本の伝統的結婚観に変化が訪れていることを実感します。
伝統的結婚観が良いとか悪いとかの議論の前に、ぜひ、その事実を広く皆様にご理解いただきたいと思います。
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(例)
- 結婚式当日の朝、両家の両親が「初めまして!」と顔を合わせる。
結婚式に先立った両家顔合わせや結納はなし。
よくあることです。
- お互いの家族がどこに住んでいて何をしているのか(職業や家族構成など)を知らない。
身上書など、お互いの家族を紹介する書類の受け渡しもしない。
よくあることです。
- 結婚式出席者の両家の人数合わせを行わない。
例えば、新郎側は2~3人、新婦側は30~40人、新郎側が極端に少ない、とか。
ここ10年くらいごく普通のことです。
- 両家顔合わせや相手の両親に挨拶に行く際に、手土産を渡さない。
両家がお中元やお歳暮などの贈り物を贈り合わない。
ここ数年、たまに聞く話です。
Etc・・・
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結婚を控えたご子息・ご令嬢をお持ちのお父様お母様、さらには、儀式を多数ご経験で礼儀を重んじる方々には、「まあ、なんて非常識!」と、決して思わないでいただきたいのです。
「結婚は両家が家族になり、お互いの家同士の付き合いは大切だ」という考えはもっともで、私個人としては、大賛成です。
一方で、その逆が、決して不正解でも非常識でもなく、カップル二人が互いを尊重し、同じ考えを持ち合わせていれば、それはひとつの価値観として、周囲は認めてあげるべきでないかと、最近つくづく思うのです。
親だからこそ、また周囲の老婆心から、結婚を控えたカップルに「その考え方は正しいのか?」、「この相手は幸せにしてくれるのか?」、「生活力は十分なのか?」・・・と心配するのもわかりますが、過去の常識は現在の非常識かもしれません。
親や、周囲の「大人」の過去の経験や知識だけでは、「大丈夫か否か?」、「幸せか否か?」、「生活力の十分不十分」なんて、判断できないと思うのです。
それより、育った環境が異なっていても、現在の立場や職業が違っていても、二人が互いを信じ合えているか、互いの考えを受け入れ合っているか、「二人としてのアイデンティティ」が形成できているか、これが重要なのではないでしょうか?
さて、眞子さまと小室圭さんの結婚について。
「皇位継承第二位の方の、義兄様とお姉様にあたるんだから・・・。もっと皇室らしい結婚というカタチがあるのではないか?」、私も今までそう言ってきました。
しかし、その考え自体が、日本の伝統的結婚観で、同性婚や夫婦別姓を認めないという考えと同じで、新しい時代にふさわしくないのではないかという考えに至り、改めました。
「持参金(?)を辞退して元皇室の品位が保てるのか・・・」という社会のご意見もありますが、「自由」のもとに他民族が暮らし、実際には「平等」とは程遠い、厳しい現実があるアメリカで生活する以上、お二人はゼロからの出発をご覚悟の上だと思います。お二人で考え抜いた「二人の生きる力」なのだと思います。
もはや、「結婚はこうあるべき」ではなくて、多様な価値観や多様なスタイルを認め合うべき時代です。他人同士が一緒になる結婚だからこそ、互いの異なる価値観や立場、アイデンティティを認め合わなければ結婚は成立しないのです。
眞子さまと小室圭さんのご結婚によって、日本の伝統的結婚観に一石が投じられ、今後、カップルの結婚、また結婚式がどのように変化していくのか、非常に興味深く感じています。
と同時に、結婚を控えたカップル一組一組の考えや要望を、今まで以上に深く広く汲み取り、結婚式のプロとしての経験や知識、アイデアや発想をもとに、新しい時代に応じた、新しい結婚式をプロデュースさせていただきたいと考えています。
結婚式の専門家、プロのブライダルプロデューサーとして、眞子さまと小室圭さんの結婚を温かく見守り、心からお祝いいたします。おめでとうございます。
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