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【業界専門誌WJ】特集~ブライダル業界は“コロナ”にどう向き合うか?~「香川県初のオンライン結婚式」インタビュー記事掲載
香川県初のオンライン結婚式を実施
―5月3日に香川県で初のオンライン結婚式を行われたそうですね。
藤田 史跡高松城跡 玉藻公園披雲閣で行いました。新郎新婦は香川県在住で、最初は挙式と披露宴を予定していましたが、緊急事態宣言を受け県外からのゲストが参加できなくなるなどの影響があり、どうするか迷っていましたが、新郎新婦や家族の都合で今のタイミングではないと結婚式が挙げられないということから、三密を避け写真撮影と披雲閣大書院の窓や扉を開放した中で神前式挙式を新郎新婦とその両親だけの少人数で行いゲストへは、挙式の模様をオンラインで配信するスタイルを提案し、実施することになりました。
―初のオンライン結婚式で色々と苦労した点なども多かったと思います。
藤田 そうですね。まず問題は新郎新婦が20代でオンラインなどについてある程度親和性があると思っていたのですが、職業柄オンラインツールを使って業務することも少なく、スマホも友人とLINEをするくらいだったため、オンラインでZOOMを使って配信するということを理解してもらうことが最初のハードルになりました。
そして、本人たちに説明し理解してもらったものの、その先のゲストにどう説明するかという壁に苦しみました。結果としてこちらで事前周知文をつくり、それをLINEでもメールでもいいので共有してもらいました。
また、最近業界のニュースなどでは、オンライン結婚式の話題も見ていましたが、どれも結婚式場の中で行っていることなので、Wi-Fi環境もツールも整っています。ところが、私達が行ったのは、高松城の玉藻公園でオフィスでもなければ結婚式場でもないため、Wi-Fi環境にかなり苦戦したのと、その中でZOOMがどう動くかという動作確認に、時間がかかりました。観光地であるためフリーWi-Fiはもともと飛んでいるのですが、使用時間に制限があったり、そもそも電波が弱かったりしたため、色々と検証した結果4Gの回線を使い配信することにしました。
―事前周知ではどのような内容をアナウンスされたのですか?
藤田 内容は、オンラインとはどういうものか、当日配信に使うZOOMはどういうアプリで、接続はどういう風にすればいいのか。また当日準備しておいてほしいものはなにかなどということです。ZOOMについてもインターネットで調べればわかることですが、案外その内容は高度なものも多く、オンラインで参列するゲストには高齢者やITツールに不慣れな方も多いとうかがっていたため、今回必要となるベーシックな内容にまとめ理解してもらいやすいようにしました。
また、事前に準備してほしいものとして、本来の挙式であれば固めの杯などでご神酒を用意しますが、オンラインでゲストにそこまでは出来ないため、ビールでもソフトドリンクでもいいので事前に用意しておいてほしいということをお伝えしました。
―当日の配信は上手くいったのですか
藤田 はい、問題なく行えました。当日画面を介してですが、新郎新婦とゲストがつながり、ゲストから「おるおる」という歓声が聞こえてきました。新郎新婦は想像がつかないと不安を感じていたなかで、私たちも悪戦苦闘しながら、言葉でいくらお伝えしても伝わらなかったオンラインへの抵抗感が払拭され、やはりリアルタイムの配信の力はすごいと実感しました。
参加したゲストの最高齢は93歳になる祖父で、自分の孫娘が、画面を通じて言葉をやり取りすることにびっくりされていながらも嬉しそうにしている姿に、私もこれまでの苦労が報われうれしくなりました。
お祖父さんは両親と同居しているため、事前にiPadに設定してもらい、時間になったらボタンを押すだけという状態にしてもらいました。そして、結婚式には参列できない兄弟にサポートしてもらい、接続しました。兄弟と一緒のものにすると使いにくくなるため、お祖父さんはiPad、ほかの兄弟はご自身のスマホやパソコンから接続してもらいました。
―リアルでは繋がれなくても、いい経験になったでしょうね。オンライン結婚式ということで、プログラムなどで工夫された点はありますか?
藤田 神前式を行いましたが、通常は拝礼などもその場にいらっしゃいますので、「親族代表玉串拝礼です。ご親族の方はご起立ください」と一言言えば皆さんご起立いただけますが、ZOOMの配信では私が、声を改めてかけたり、作法や儀式の説明をするなどのフォローをしていました。
そして、事前に案内していた固めの杯では、皆さんがそれぞれご用意してもらったものを画面の前で杯を傾けてもらうようにアナウンスしたりしていきました。親族集合の写真や全員集合のスナップ撮影も、ZOOMをギャラリー形式で設定し、新郎新婦が手元にパソコンを持って写真撮影を行うなど行い、一体感が出るようにしていきました。
あとは引出物も、その場ではお渡しできないので、事前に用意していたものを宅配で送らせてもらうなどしました。
―素晴らしい結婚式になりましたね。今の状況ではこうしたスタイルの結婚式も提案していく必要があるのでしょうね。
藤田 これからは、結婚式のありようも変わると思います。結婚式とはなんぞやというのを見つめなおす機会になっていると思います。最終的にいい結婚式というのは、どんなパフォーマンス、おしゃれな装飾、高価な引き出物、珍しい演出ではなく、二人が結婚したいという想いがちゃんと表現されていて、見ている人に伝わっていることだと思いますが、いままでは業界側があまり伝える努力をせずに、演出あるいは装飾的なものなど上辺のものでオリジナリティと言ってきました。しかしこれからはより本質が問われる時代がきたのだと思います。私はコロナ前から信念として持っていましたが、ようやくそれがそういう時代がきたような気がしています。
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